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感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第6報)

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国立感染症研究所
2021年2月12日18:00時点

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要約

ウイルスのヒトへの感染性・伝播のしやすさや、すでに感染した者・ワクチン接種者が獲得した免疫の効果に影響を与える可能性のある遺伝子変異を有する複数の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株として、特にVOC-202012/01, 501Y.V2, 501Y.V3の流行が懸念されている。いずれも感染性・伝播のしやすさに影響があるとされるN501Y遺伝子を有するが、特にVOC-202012/01については、2次感染率の増加や、死亡リスクの増加の可能性が疫学データから示唆されている。501Y.V2と501Y.V3については、さらに抗原性に影響を与える可能性があるE484K変異も有する。特に501Y.V2については、過去の感染によって得られた免疫や承認されているワクチンによって得られた免疫を回避する可能性が指摘されており、暫定結果ではあるが数社のワクチンでは有効性の低下を認めている。さらには、VOC-202012/01にE484K変異が加わった株も報告されている。これらの変異株の感染者が世界各地から報告され、いくつかの国では変異株がかなりの割合を占めつつある。

国内においても、渡航歴のない者や渡航歴のある者との疫学的関連のないVOC-202012/01の感染者が各地で報告されつつある。流行国ではこれから変異株の占める割合が上昇することが見込まれている。これらの変異株はウイルスの感染・伝播性が増加している可能性があることから、まん延した場合には、従来と同様の対策では、これまで以上の患者数や重症者数の増加につながり、医療・公衆衛生体制を急速に圧迫するおそれがある。国内でのまん延拡大防止のためには、入国者数の制限や検疫により、渡航者による変異株の国内持ち込みを極力抑制する必要がある。加えて、国内対策を強化し、変異株感染者の早期検知と、特に変異株クラスターの迅速な封じ込め及び社会での接触機会の抑制を推奨する。


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