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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは

SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症である。2013年1月に国内で海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告され、それ以降他にもSFTS患者が確認されるようになった。SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす。検査所見上は白血球減少、血小 板減少、AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇が多くの症例で認められ、血清フェリチンの上昇や骨髄での血球貪食像も認められることがある。致死率は6.3〜30%と報告されている。感染経路はマダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心だが、血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されている。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。

 フタトゲチマダニ  Haemaphysalis longicornis


感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要

(2015年4月8日現在)

感染症発生動向調査では110人のSFTS患者が報告されており、男女比は24:31で、年齢中央値は73歳であった。 5-8月の発症例が多く、西日本の15県から報告されている。なお、感染症発生動向調査で届出が求められる以前に診断された4人の患者は報告されていない。

 

表1 基本情報(2015年4月8日現在)

生存例 死亡例 合計
報告数 78 32 110
性別 35 13 48
43 19 62
年齢 中央値

70.5歳

80.5歳

73歳
~20代 1 0 1
30代 1 0 1
40代 2 0 2
50代 5 2 7
60代 27 5 32
70代 21 8 29
80代 18 14 32
90代~ 3 3 6

注)死亡は感染症発生動向調査の届出時点の情報であり、経過中の死亡は報告されていない可能性がある

 

図1 2013年1月1日以降に発症したSFTS症例の発症時期(N=102, 2015年4月8日現在)

 sfts-fig1

 

図2 SFTS症例の発生(感染)地域(N=110, 2015年4月8日現在)

sfts-fig2 

(国立感染症研究所 ウイルス第一部・感染症疫学センター)

  

IASR記事

2014年02月25日 <速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第二報)new-red
2014年2月 特集>日本における重症熱性血小板減少症候群
2014年2月        上記特集関連情報
2013年10月25日 家族内発症2名の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者を含むSFTS患者5名の臨床的特徴
2013年09月24日 山口県の一医療機関における重症熱性血小板減少症候群症例の接触者調査
2013年08月29日 <速報>重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの国内分布調査結果(第一報)
2013年07月23日 フタトゲチマダニ刺咬後に早期診断され良好な経過をたどった重症熱性血小板減少症候群の1例
2013年03月14日 国内で確認された重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者8名の概要(2013年3月13日現在)
2013年03月07日 国内で初めて確認された重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者に続いて後方視的に確認された2例
2013年01月30日 国内で初めて診断された重症熱性血小板減少症候群患者

厚生労働省による情報

2013年02月19日 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の国内での確認状況について(情報提供)(その2) (PDF)
2013年02月13日 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の国内での確認状況について(情報提供) (PDF)
2013年01月30日 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について [結核感染症課長通知] (PDF)
2013年01月30日 重症熱性血小板減少症候群について(PDF)
2013年01月30日 重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A(PDF)

関連サイト

 

 


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